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テロに巻き込まれるのは

自己責任だと、この数年のブリュッセル暮らしで思うようになった。巻き込まれたことのある人には、不謹慎かもしれない。失われた命に対しては悲しい。しかし、人のせいにはできない、自分のことだ。

ICEにせよ、タリスにせよ、荷物検査なんてない。もし高速鉄道に荷物検査があるなら、ユーロスターのように、出発の1時間前に、長蛇の列に並び、待合室に詰め込まれて、不便極まりない。「えくぜぷてぃぶ」何とかとで、横をすっとすり抜けていく、金持ちや特権階級者をうらやみながら。

「線路に置き石」はしてはいけないと、親に言われた。家族が破産するから。ユーロスターの線路は、柵でおおわれて入れないが、全路線ではないと思う。日本の新幹線も、かなり強固に、置石ができないようになっていると思う。でも、過去に置石の事例はあったと思う。1万円払って、車内で、「いらんこと」するのは、置石のポイントを探すよりは、一般人には簡単だ。

ブリュッセル市を走る自分が毎日のっているメトロは、ここ1年で1度テロの標的になったことがある。危険物の構内への持ち込みだった。それが実際まき散らされたのが、地下鉄サリンだ。僕の乗る車両で喧嘩が起こったことは2回ある。夜中のメトロは、今でもなんとなく緊張する。緊張していたら直感がはたらいて、ことを未然に防げるわけではないし、逆に、なんとなく不安であっても、何も起こらないことも多い。運よく、今まで、我々家族は、特に身に迫った危険に出会わずに済んだ。

EU本部で重要な会議があるとき、その下を走るメトロが、最寄り駅(しゅまん)をスキップする。国会議事堂前駅を東京メトロが止まらないのと同じ状況だ。EUやその周辺で働く人には不便極まりないだろうが、一駅歩くから健康にはよい。スキップする理由はきちんとは知らないが、きっと、なにかの混乱を避けたいのだろう。アメリカ大統領が街を訪問する時の警備は、住民生活を制限する。警備による渋滞や停滞に巻き込まれないように生活することが、単に、生きるすべだ。

テロリストは、ただ、社会の未然の策に対して、その逆を考え抜け穴を突いて、反社会的行為をするだけだ。いくらでも抜け穴はあるのだから、もうこれ以上煩雑にしてほしくない。たとえば、メトロのチケットを買うのに、身分証を提示しないといけないとか、そういうことはやめてほしい。なぜなら、僕のチケットで空いたゲートに、すっと後ろから近づいてくぐっていくにーちゃんが、実際いるのだから。

自分はただ危険に巻き込まれたくない。ただ、それだけだ。危険を未然に知る嗅覚、それから遠ざかって生きるすべは、これからも鍛えていかないといけないと思う。

by khosok | 2015-06-30 23:46 | Trackback | Comments(0)

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