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力点ー支点ー作用点

てこの原理は、一本の棒の支点の周囲でモーメントの力がつり合うことと説明できる。似たような不思議は、小学生の時に、滑車というのも勉強したと思う。

なにかに支えられることによって、不思議と力が出る、というような文学的表現に置換されても、それほど違和感がない。みこしを担ぐときに、腰を支えられると不思議と楽だ。

時間という軸の周囲で、モーメントがつり合うということもある。すぐに解決すれば楽ちんだけれど、実際何事にも時間はかかる。たいへん難解な事柄が時間をかけてゆっくりと理解されることもある。

作用点において何が生じるかというアウトカムとか結果だけに着目すると、なんとなく、てこの原理みたいな単純な法則や原理でものごとを捉えて最小の努力を行うなうということが、それなりにまことの道から遠い感覚を持って生きてきた。試験勉強で過去問の丸暗記とか模範解答のコピーを見ることがなんとなく不安だった。締め切りに間に合わない仕事でも納得が得られるように分別をわきまえたかった。

大学受験浪人を経験したからかもしれない。結果を出すことに対して慎重に思うのかもしれない。

就職して初めての上司はよく、もっとしっかり勉強しろと叱ってくださった。しっかり勉強するというのは、たとえば、心電図の波形を抗不整脈薬と連結させて即断即決するような行為とは対極の、なぜ心電図という波形描出が可能なのか、その波形の形成メカニズムはどのようなものか、心電図波形をとるための電極の位置の違いは波形に対してどのような意味があるのか、といったことをしっかり筋道を立てて自分の頭で考えることだという教えだった。

てこの原理で、棒の太さを変えてみるとか、支点が点ではなく面だったらどうかとか、支点に融通性があることの効果とか、いろんなことがあるだろう。さらに職業人として社会でいきることは、さまざまな複雑な関係性の中での重層的な判断の結果だ。しっかり勉強することは無数にあって、途方に暮れるときもある。

すこしだけ歩んでみる。てこはその時は動かないかもしれないが、てこを触っているうちに、すこしはてこを知ることになる、それだけでもいいかもしれない。

by khosok | 2017-11-16 11:39 | Trackback | Comments(0)

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